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​シンフォギア・ミライ(響編)

シンフォギアの10年後を書いたショートストーリーです。
GX頃に書いたストーリーが大元なのでちょっと違和感がある。


ーーー本編ーーー

 私の親友―立花響ーはS.O.N.Gのシンフォギア装者として世界中で『人助け』をしていました。
でも、『あの事件』をきっかけにギアを纏う事が出来なくなってしまいました……
キャロルちゃんと戦った時とは違う。
浮かんだ聖詠を口づさんでもガングニールは反応しないし、その内聖詠すら浮かばなくなったみたいでした。

響はS.O.N.Gを辞める事にしました。
翼さんやクリス、みんなは辞める事に反対したし響自身もみんなに会えなくなるのが辛そうだったけど、「ギアを纏えない私が居たところで何も出来ない、誰も救えない」と言って辞める決心をしていました……
私は響が決めた事だから、止める気はありませんでした。
ただ、どんな時でも響の陽だまりが私の役目だから……

× × ×

「未来ごめんねいきなり」
「ううん、良いんだよ、響。」
「ありがとう、未来。それでね私、世界中を旅しようと思うんだ……」
「えっ?!」
「よく考えたらね、ギアを纏えない私でも何か出来る事が、人助けがあると思うんだ。」
「そっか、人助けは響の『趣味』だもんね。そしたら…」
「待って、この旅は私一人で行きたいんだ。
それで旅にはゴール…帰る場所が無いとね。だから、未来は未来の道を進みながら待ってて欲しいんだ…」
「う、うん!分かった!いつでも帰りを待ってるよ、響!」
「そしたら、2000の特技を覚えたら一回帰ってくるよ。」
そう言うと響は親指を立てた。

× × ×

そして、響はリディアン卒業後、人助けの旅に出ていきました。
一方、私は大学へ進学し数年後には教師免許を取り母校へ教師として通う日々が始まりました。

そんなある日

× × ×

「み~くッ」
「わっ!何?!って響?!何処から入って来たの?」
「え?何処って、そこの窓からだけど?」
「壁よじ登って来たの?!」
「いや~、未来を驚かせようと思って」
「だからって危ないよ…」
「それより、はい、お土産」
「あ、ありがとう。(お面??)」
「そのお面はね…」
「タァチバナサン!!」
「はいッ!」
「貴方って人は卒業後も勝手に職員室に入ってきて!!」
「あーごめんない、すぐ帰るのでー。あ、未来しばらくは日本に居るからまた夜ね。」スタタ
「コォラ、タァチバナサン、廊下は走らない!まったくもー。」
「すみません、響が…」
「別に小日向さんが謝る事は無いわ。それに卒業生の元気な姿を見れるのは教師として嬉しい事よ…」

× × ×

「未来、昼間はいきなりでごめんね」
「ううん、良いんだよ。それに先生も響に久しぶり会えて喜んでたよ。」
「え?!そうなの?!なぁんだ、そうならそう言ってくれれば良いのに。」
「うーん、それはどうなのかなー…。それで、しばらく日本に居るって言ってたけど今回はどれくらい居る予定なの?」
「うーん…、特には決めて無いんだよね。一週間かもしれないし。1ヶ月?もっとかも?まぁ、世界の誰かの困ってる声が聞こえたらまた出ようと思う。それまで町のお手伝いしようかなって。」
「そうなんだ。そしたら、明日は私休みだから久しぶりに行けない?」
「???」

× × ×

「わぁ、フラワーのおばちゃん元気にしてた?」
「やぁ、響ちゃんに未来ちゃん、いらっしゃい。私はいつも元気だよー。」
ーー
「ん~、おばちゃんのお好み焼きは頬っぺたの急降下作戦、お袋の味だよ。日本に帰って来たって実感出来るよ。」
「うふふ、嬉しい事言ってくれるねー。また、旅に出るまでたらふく食べていきな……」
<ウー、ウー>
<特異指定災害ノイズが出現しました。落ち着いて近くのシェルターへ避難してください。>

「このサイレンって?」
「まさか?」
「未来!おばちゃんをよろしく。私は町のみんなを!」

× × ×

「誰かー?誰か居ませんかー?避難はあらかた終わったのかな。私もシェルターにいかなきゃ。」

―特異指定災害ノイズ―
10年前の「フロンティア事変」でソロモンの宝物庫の扉が閉められ二度と現れないはずのなのに何故?

<ドゴーン>
目の前で爆発が起き、土煙の中に2つの人影が見えた。
「あれは……」
シンフォギアを纏った女の子が、攻撃を受け膝を付いている装者と攻撃をした装者の二人が相対していた。シンフォギアを纏っているから二人ともS.O.N.G.所属?
多分、違う。恐らくS.O.N.G.所属の装者と襲撃者なのだろう。
襲撃者が再び攻撃体制を取った。
<ドゴーン>
また、爆発が起きた。
攻撃を受けた装者は大丈夫?
何故、争っているの?
気が付いたら倒れた装者に掛けよっていた。
「ねぇ、大丈夫?」
装者を抱き抱えると変身か解けてリディアンの制服姿となった。
気を失ってしまったようだ。
「あーあ、折角、英雄様と戦えると思ったのに。このザマかよッ!」
もう一人の装者が粗暴に愚痴を吐く。
英雄?何の話か全く分からない。
だけど、今はそんな事はどうでも良い。
今、重要なのは……
「ねぇ、どうして争っているの?同じ人間で同じシンフォギア装者なのに?話し合おうよ?」
「んあ?何だぁ?戦場(いくさば)に部外者が割り込んで来て何バカな事を抜かしてんだ?!」
「そんな事は分かってる、だから真面目に……」
「それがバカだって言ってるんだよ!」
装者は瞬時にアームドギアを展開し巨大な一撃を繰り出した。私の思いは届かず相手の逆さ鱗に触れてしまったのだ。
生身で食らえば死んでしまう攻撃だ。
少女を庇い強く抱いた。

ー生きるのを諦めないでー

胸に歌が浮かぶ。
懐かしい感覚、数年ぶりだけど確かに覚えている。もう、使えない力と思っていた。
そうこれは『ガングニール』だ。

× × ×

「Balwisyall Nescell gungnir tron」
「歌だとッ?!」

ガングニールの装者に攻撃をした所に現れた女。その女は口を聞いたと思えば「話合おう」なんてトチ狂った事を言ってきた。
クソ食らえ!水知らずの人間、部外者と話す内容なんかねぇ!
ムシャクシャしたから吹き飛ばしたけど、土煙の中から歌が聞こえてきた。
女がガングニールのシンフォギアを纏っていた。
「て、テメェ、何もんだ?!」
シンフォギアは簡単に纏えるものじゃない。ましてや、いきなり現れた女なんかに。
「ちょっと待っててね。」
女は抱き抱えていたガングニールの装者を寝かせるとこちらを見た。
「私は立花響。年齢は26歳。趣味は人助け。今は貴方を止めるために殴るけど、我慢してね。」
「はぁ?何言ってるんだ?!」
本当に意味が分からない。
ただ、拳を構えた姿からはただ者ではないと感じる。
「面白れぇ、ならこの私を楽しませてくれよなぁ!」
先手必勝、やられる前にやるしかない。
アタシのギアは『レーヴァテイン』、繰り出すアームドギアは変幻自在。今は両手に鞭状で形成して三次元的な攻撃を仕掛ける。

「?!消えた?」
こちらの攻撃を避けてさらに目の前から消えた。
次の瞬間、目の前に女が現れて腹に重たい一撃を受けた。
「つ、強い……」
意識が朦朧する。
駄目だ、敵わない。
ここは一旦撤退するしかない。

× × ×

「すみません、女の子が倒れていました。手当てをお願いします。」

難は逃れたが襲撃者には逃げられてしまった。
だけど、私が出来るのはここまでだ。
変身が解けた今、再び胸の歌は完全に消えた気がする。

あとはS.O.N.G.の皆の仕事だ。
そして、ガングニールの少女にはこれから多くの困難が降りかかると思う。
だけど、胸の歌がある限り必ず乗り越えられるから。
「胸の歌を信じなさい。」
眠る少女にそう声を掛け、私はその場を後にした。

​ーーーおわりーーー

 
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